出典:『伊勢神宮』:ぎょうせい
遷宮次第:矢野 憲一
180頁
『伊勢神宮』
「お白石持行事しらいしもち」
ほぼ完成した御正殿の御敷地に、
旧神領民と遷宮奉賛会員が「お白石」を奉献する行事。
平成五年七月三十一日から八月十九日まで内宮で、
同八月二十一日から三十日まで外宮でなされた。
奉献者は内宮が八万二○八二名、外宮が七万一四〇一名。
奉賛会の一日神領民も五万七千人の参加があった。
一般の人々が御垣内の奥深く立ち入れるのは
二十年に一度とあって、
熱気あふれる盛夏の行事となった。
「御戸祭みとさい」
御正殿の扉を造る祭り。
内宮は平成五年九月十三日、外宮は同十五日。
御扉に鑰穴を穿ち、これによって完成したことになる。
「御船代奉納式」
御神体の鎮まる御船代を、
新宮の御正殿に奉納する式。
九月十七日に内宮、同十九日に外宮で行なわれた。
「洗清」
竣工した新殿のすべてを洗い清める式。
九月二十四日に内宮、同二十六日に外宮でなされた。
「心御柱奉建しんのみはしらほうけん」
忌柱といわれる心御柱を、
新殿の御床下に奉建する深夜の秘事。
古くは鎮地祭・立柱祭と同じ日に行なわれていたが、
中世以降は建築エ程の変更から、
遷宮直前の行事となった。
内宮で九月二十五日、外宮は同二十七日に斎行された。
「杵築祭※こつきさい」
新殿の竣工を祝して御正殿の柱の根を固める祭り。
九月二十八日に内宮、翌二十九日外宮でなされた。
大宮司以下の神職と、技術総監以下の造営庁職員が
明衣(みょうえ)をかけ白杖を待ち、
古歌を唱えつつ柱根を三周して祝福した。
かしこしや 五十鈴の宮の杵築してけり
天照す大宮処かくしつつ仕えまつらん
かくしつつ仕えまつらん
万代までに 万代までに
(内宮は二首)
渡会の豊受の宮の杵築して 宮ぞ栄ゆる 国ぞ栄ゆる
万代までに 万代までに
(外宮は一首)
「後鎮祭※ごちんさい」
五年前になされた鎮地祭の後返しの鎮祭であろう。
竣工を喜び平安に守護していただこうと大宮地に坐す神に祈る祭り。
十月一日に内宮、同四日に外宮で行なわれた。
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