2015年7月16日木曜日

「和氏」及び「羲氏」

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 『日本創世紀』:倭人の来歴と邪馬台国の時代小嶋秋彦

 第1章 倭人と東夷の原像

     ―和人〔倭人〕はシナ大陸を最初に開化させた― 

  (5)「和氏」及び「羲氏」

   ここでは前記した「彝族」「哈尼族」の古代を考察する。

  ここで確認しておきたい重要な点は

  「彝語」あるいは「哈尼語」の語圏は漢語系とは

  全く異なった発祥と展開を経てきたということである。

  「哈尼族」は実は書経「禹貢」の「梁州」に

  「和夷底績」と記述される「和夷」の後裔である。

  因みに「梁州」とは四川省の四川盆地地方である。

  書経は孔子が纏めたいわれるくらいだから

  紀元前5世紀以前のシナにおける書物で、

  そのうちの「禹貢」はシナにおける「山海経」より古い

  最初の地理書で揚子江・黄河流域を九つの州に分け、

  夏王朝の開祖「禹」がその各地を治めたという内容になっている。

  新釈漢文大系の「書経」はその通釈で

  「和夷の住む地が遂に治まった」といっており、

  「和夷」とはそういう人々がいたと解釈している。

  しかもその住む地が梁州、つまり四川盆地だといっている。

  「哈尼族簡志」では

  「漢文史籍中の歴史名称は和夷、和蛮、和泥、禾泥、和泥、俄泥、

   阿泥、哈尼~有り」といっており、

  彼等の祖族が「和夷」であるとしている「尼」「泥」は

  哈尼語、彝語で「人」を表わし、当該族は「和人」となる。

   この「和人」について書経「堯典」に興味ある記述がある。

  第二節に「堯四岳を任命し暦を作る」に依る(新釈漢文大系)

   乃ち羲和に欽んで昊天に若って、日月星辰を暦象し、

  敬んで民の時を授へんことを命ず。

  分けて羲仲に嵎夷に宅を命じて曰く、

  「晹谷に出日を寅賓し、東作を平秩せよ。

   日は中にして星を鳥にて、以って仲春を殷せ。

   厥の民は折れ、鳥獣は孳尾せん」と。

  申ねて羲叔に南交に宅子を命じて〔曰く〕、

  「南訛を平秩せよ。日は永く星は火にて、以って仲夏を正せ。

   厥の民は因し、鳥獣は希革せん」と。

  分けて和仲に西に宅子を命じて曰く、

  「味谷に納日を寅餞し、西成を平釈せよ。

   宵は中にして星は虚にて、以って仲秋を殷せ。

   厥の民は夷り、鳥獣は毛せん」と。

  申ねて和叔に朔方に宅子を命じて曰く、

  「朔易を平在せよ。日は短く星は昴にて、以って仲冬を正せ。

   厥の民は隩し、鳥獣は氄毛せん」と。

  帝曰く

  「咨、汝羲および和、朞は三百有六旬有六日にし、

   閏月を以って、四時を定めて、歲を成せ」。

 ※出典:『尚書』虞書・堯典 第一

 乃命羲和,欽若昊天,歷象日月星辰,敬授人時。

 分命羲仲,宅嵎夷,曰暘谷。寅賓出日,平秩東作。

 日中,星鳥,以殷仲春。

 厥民析,鳥獸孳尾。 

 申命羲叔,宅南交。

 平秩南訛,敬致。

 日永,星火,以正仲夏。

 厥民因,鳥獸希革。

 分命和仲,宅西,曰昧谷。

 寅餞納日,平秩西成。

 宵中,星虛,以殷仲秋。

 厥民夷,鳥獸毛毨。

 申命和叔,宅朔方,曰幽都。

 平在朔易。

 日短,星昴,以正仲冬。

 厥民隩,鳥獸氄毛。

 帝曰:

 「咨!汝羲暨和。

  朞三百有六旬有六日,以閏月定四時,成歲。

  允釐百工,庶績咸熙。」

 羲氏と和氏に、暦と季節を調査させた。

 羲仲は東で、春の発生を調べた。

 羲叔は南で、夏の生長を調べた。

 和中は西で、秋の成熟を調べた。

 和叔は北で、冬の蓄積を調べた。

 それぞれの季節で、すべきことを定めた。

 帝堯はいう。

 「羲氏と和氏の兄弟たちよ。

  1年を366日として、閏月でズレを補正せよ。

  1年の行事を定めよ」と。

 暦と行事が整備された。※

   当記述にある羲和とは「羲氏」と「和氏」である。

  つまり黄帝から第5代の「帝堯」が

  羲氏と和氏の両族に命じて東西南北に彼等を配置し、

  「暦」つまり「歳」ごとの人々の生活様式を

  整えさせたというのである。

  ここに登場する「和氏」は「和人」にして「哈尼族」の祖先であろう。

  まさに「和人」及び「羲人」が

  シナ大陸を最初に開化させてとの趣旨である。
  
  「和」字の語義をみると同字の「咊」で「こゑを合わせる」が由来であり、

  歌をコーラスで奏する際の声が合う、

  調えられている様子をいう。

   さて、「羲氏」であるが、これは「彝族」の別称である。

  同族の呼称を「彝語簡志」は〔no-su〕という。

  この表音はすでに述べた通り「石・目」の合成で「瞳」を表わす。

  つまり彝族は「目族」なのである。

  「彝羲」と合成すると、これまた IGI で「目」の意義である。

  シナの古来からの姓名を一字で表わす慣習から

  「イ」「キ」と分けられたと考えられる。

  「目族」はまた前述のように「姫氏」でもある。

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